竹村義宏のフランチャイズBlog

フランチャイズ業界30年これまで50を超えるFCに携わった竹村のブログ。2015年5月FC2から引っ越し。

フランチャイズ業界30年 FC専門家の情報発信。
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フランチャイズにおける「上場」について<その1>

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こんにちは。 タイのクーデターは心配ですね、竹村です。 これまでも政治の混乱を何度もクーデターで片付けてきた国、とはいえ、バンコクは竹村の知る人が何人も商売をしていたり、単身赴任していたり、かなり関係の深い国です。1日も早く終息することを祈ります。 さて、昨日は二人の方からフランチャイズ本部の上場」について考えを聞かれました。 現在竹村がオススメFCとして紹介している本部全ては、現在成長中というアーリーステージの本部のため、けっこうこのテーマについて聞かれることも多いです。 ただ、あくまでも竹村個人的な見解であり、各FC本部のTOPは別な考えであるかもしれない、という前提で言いますと、 フランチャイズ本部は上場には向いていない と思います。 もう少し正確に言えば、 世間が思うほどFC本部の上場メリットは少なく、デメリットが多い ということです。 何故そう考えるか?ですが、 ひとつは「実体験」として、ベンチャー・リンク時代に10以上のフランチャイズ本部の上場を見てきましたが、そこから約10年たって、会社自体なくなったとこが半分、残っているところも上場した時点の創業オーナーの会社ではなくなってしまったところがほとんど、です。「上場が頂点」になってしまった会社が多かった、ということです。 なぜそうなるか?について端的にいうと、 上場するだけであれば難しくない からですね。 加盟金がどんどん入ってきて、店舗数が増えていく、売上・収益とも上がり来期の予測も高い、という「急成長」状態がつくれれば、例えばマザーズへの上場はハードルが高いものではありません。 ただ、その後、が難しいわけです。 上場した以上、「株価」というものを意識して経営せねばならず、そのためには目標を掲げそれを達成し、成長し続けなければなりません。堅い数字を出してそれを達成していくのでは株価は冴えず、「サプライズ」的なものが必要です。 で、フランチャイズ本部というビジネスモデルはそこが難しいわけです。加盟店がどんどん増えていけばエリアが無くなり、成長は「鈍化」します。それでは売上・利益の前年比がマイナスになりますから、「新しい手」を打っていかなければなりません。「新しい手」とは「新規フランチャイズブランド」の立ち上げだったりします。 「上場」してお金を集めているので、それを使って「新しいフランチャイズを立ち上げる」というのは極めて自然な流れなのです。 ただ、ひとつのフランチャイズを成功させた企業が、第二ブランド、第三ブランドのフランチャイズを立ち上げていく、というのはかなり難しいこと=成功確率が低いのです。 例えば、モスバーガーは同じ志で「ちりめん亭」というラーメンFCを展開しましたが、上手くいかず売却しました。そんな例ばかりです。 唯一、日本のFCの祖ダスキンミスタードーナツを成功させていることが有名ですが、その間にはいくつかの失敗FCがあり、その後もいくつか失敗FCがあります。 「上場で集めた資金」を使って、更に投資して利益を上げていく、新しいシステムを開発して利益を上げていく、という流れがフランチャイズ本部というビジネスモデルには向かない、と言うのが竹村の見解です。 確かに、加盟店に向けて「上場するぞ!」というのは、あらゆる意味でモチベーションがあがります。 ただ、この「モチベーション」というものも「株価」と似ていて、一時的に上げるより、維持する方が難しいのです。過去には加盟店に株を持ってもらって「上場益」を手にしてもらう、ということをやって話題になった本部がありましたが、それは極めて「短期的なボーナス」という効果しかありませんでした。 ということで、フランチャイズ本部は株式上場には向いてない、と考えるわけです。 ただ、この「株式上場」は、ある形で使えば、フランチャイズでも大いにプラスになるのではないか?というひとつの考えもあります。次回それについて書きたいと思います。 本日はこんなところで。