竹村義宏のフランチャイズBlog

フランチャイズ業界30年これまで50を超えるFCに携わった竹村のブログ。2015年5月FC2から引っ越し。

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「新ナニワ金融道R」で学ぶ、脱サラするときの心得、という話

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こんにちは。

 

「吉野家」牛丼80円値上げ!、竹村です。

 

そりゃそうですよね。あの「牛丼」が300円なんて価格はオカシイわけで。そもそもは「円高」デフレの中で牛丼戦争が起こり、価格競争で起こりどんどん下がっていった価格設定なわけですから、これだけ円安になった今、そのままの設定でビジネスになるはずがありません。 少し前に、「幸楽苑」が290円ラーメンを販売停止、なんていうニュースが流れたばかりですから、今後もチェーン店の価格改定は続きそうです。円が90円から130円になるということは、輸入食材については原価が44%上昇しているということですから、普通に考えれば「回転すし」なんかには厳しすぎる環境のはずです。 ホームセンターのニトリのように企業努力でこの「円安逆風」を乗り越えてしまう、ような企業もあるにはあるわけですが、ニトリのような芸当は普通には難しい、と思います。

 

さて、本日は「週刊SPA!」から。 青木雄二氏が没後もその弟子たちが「青木雄二プロダクション」として連載を再開している「新ナニワ金融道R(リターンズ)」ですね。

 

今回は杉村という男の「脱サラ起業」の物語のようです。

 

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最初から、トンデモナイ泥沼に堕ちていく感プンプンの「始まり」です。この杉村の会社の辞め方は感心できません。「会社の規定」というのはこういう風に切るカードではないはずです。

 

この杉村という男、勤め先の関連事業で脱サラ独立しようとしているわけですね。おそらく頭のなかでは元勤務先との多少のトラブルを想定して動いているつもりでしょうが、この上司の忠告を「イヤミ」としかとらえず、「資本主義に真偽もヘッタクレも…」なんてことを前提に考えている時点で全くの「勘違い」ですね。

 

会社を辞めれば「労働者階級」からは抜け出せるわけですが、そこから抜け出すのと「自分で稼げる」のとは違いますね。自分で稼げたら(会社に)搾取されない、だけであり、稼げるかどうか?というのはわからない、わけです。

 

もちろん、竹村は「脱サラ起業」を大いに勧める、立場です。 ですが、それは「脱サラ起業して成功してほしい」という観点からの「脱サラのススメ」ですから、脱サラの失敗パターンや脱サラしてはいけないケースは、しっかり伝えていきたい、と考えています。

 

正直、起業相談でもサラリーマンで勤務されている方が来られた場合は、半分以上のケースで「焦って会社を辞めないこと」とアドバイスしますし、5人に1人くらいの割合で、「起業には向いていないので頑張ってサラリーマンを続けたほうがいい」とお伝えする場合もあります。 この漫画の杉村氏のケースは「最悪」ですね。まぁ、だから「漫画」として面白いストーリーになるわけで、もって他山の石、 として欲しいと思います。

 

何がダメかって、一番は、  

全て自分のことしか考えていないから ですね。 そして、次に、  

世の中をなめているから(相撲で言う)「脇が甘い」 というところです。

 

「全て自分のことしか考えていない」というのは、起業をする状態としてはありがちなのかもしれません。「自分」というところを「先=未来」と入れ替えたら、正しい、気もしてきます。辞める会社のことより自分の未来のことを考える、とまで言えば、その通り!という気がします。 が、それは少し違うんですね。 「自分の未来さえ良ければ、他の人のことは知らん」 という考え方では、商売は成功しないのです。

 

商売、というのは「まずは自分が儲けて」というところからはスタートできない、これが「原則」だからです。 まずはお客様に「利」を与えて、それが結果「お金」になってくる、のが普通の商売です。

 

「会社の辞め方」というのはその人の「人間性」が出ますね。「脱サラ」という、自分の未来のための行動で会社を去るなら、なおさら、自分の未来とは今後縁がなくなる(と思われる)人たちに対して、どう接せられるか、というところが問われます。 「まずは自分!」「自分だけ良ければ!」という人は商売にもは、とくにフランチャイズ加盟にも向きません。

 

そして何より「脇が甘い」

 

これは似たような表現である「詰めが甘い」と比べて、段違いでダメ、です。 「脇が甘い」というのは、知識がない、見識がない、経験もないという三ダメです もともと相撲の言葉ですが、「脇が甘い」まま「商売」という土俵に上がっても、初日から黒星続きが目に見えています。

 

それこそ「資本主義」というルールの中での土壌上の戦いの中で、「食い物」にされるのです。 もし「脇が甘い」という自覚があるなら、やはり先輩経営者や専門家のアドバイスをききながら起業する、あるいはフランチャイズで起業する等の選択をすべきです。 この漫画の杉村氏が典型ですが、サラリーマンとしてそこそこ成功してきて自分は「デキる」と思っている、その生半可な自信が「商売の怖さを勉強しなければならない」という大事なことにフタをしてしまっている、わけです。

 

「ナニワ金融道」はお金の怖さ、商売の怖さを学ぶにはイイ漫画ですね。 サラリーマン社会しか知らないという方は一度読んでみるべきですね。 

 

本日はこんなところで。

 

 

ナニワ金融道(1) ナニワ金融道(1)
(2012/09/28)
青木雄二

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