竹村義宏のフランチャイズBlog

フランチャイズ業界30年これまで50を超えるFCに携わった竹村のブログ。2015年5月FC2から引っ越し。

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「事業計画書は1枚に」本に学ぶ公庫の融資は相手の気持を考えろ、という話

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こんにちは。

 

「ソニーの本質は高級なおもちゃ会社」 ←プレステの生みの親、丸山茂雄氏の連載のインタビューが面白い!、竹村です。

 

とくに大賀元社長を語るくだりが勉強になります。

 

大賀さんは二枚舌を使う名人だったんだ。本質を理解していたから、「ハードとエンタメの両方が大事」と言いつつ、「融合」とは言わないし、決して2つの事業を交わらせようとはしなかった。

 

エンタメ派の大賀さんは、「ハードとエンタメは違う」ということを理解していて、自分がわからないハードは「任せた」という話です。

それが次の出井さんになり、「ハードとソフトの融合」と言い出して、そこからソニーの迷走が始まった、という分析です。

 

 大賀さんみたいに、「現場が分からないから任せてしまう」という一番大事なことを、分かっていないんだ。それを理解できないとソフト事業は成功しないよ。 

 

これが本質なんだ、と思います。

 

竹村の仕事で言えば、このハードとソフトの関係は、フランチャイズの加盟開発(営業)とスーパーバイザー(経営指導)と少し似ている、と思いますね。

 

両方大事で「融合」するようなイメージもある、それができたら究極の素晴らしいフランチャイズ!なんですが、融合させてバランスをとることはなかなかできない。

 

だから本来「分け」て、双方が「違うものだ」という前提を理解したうえで、お互い「任せて」コミュニケーションをとらなければならない、のです。

 

こっから先はかなり難しい話になりますので、メルマガでやりましょう。

 

 

さて、本日はこの本を取り上げたいと思います。

「起業は1冊のノートから始めなさい」の上野さんが、政策金融公庫の創業融資を成功させるノウハウを具体的に語った本。

 

事業計画書は1枚にまとめなさい―――公庫の元融資課長が教える開業資金らくらく攻略法
 

 

 

 この紹介記事だけでも読む価値あります。

7つのポイントを押さえれば、融資担当者をうならせる事業計画書ができる|事業計画書は1枚にまとめなさい|ダイヤモンド・オンライン

 

これまでも税理士や起業コンサルタントが書いたノウハウ本がありましたが、上野さんは公庫の中のひと、として「貸す側」にいた方なので、より実践的。

 

上の記事に書かれている、「(ベンチャーキャピタルなどの)投資と融資の違い」などを、しっかり理解しておくことが実は融資面談において大事だと思います。

 

ベンチャー投資は、投資したいくつかの先のうちひとつ、ふたつが破綻しても、逆に一社が大化けすれば、投資としては成功、となりますが、「利息」で利益を得る「融資」は全く違うのです。

 

融資の場合の収益源は利息であり、大きなリターンは期待できません。万一、融資した先が倒産して返済できなくなれば、利息どころか元金も戻らないので、損失をカバーするためにほかで高額の新規融資をしなければならなくなります。

たとえば、利率2.5%で500万円を融資した先が返済不能になれば、ほかで2億円の融資を実行する必要があります(500万円÷2.5%)。返済不能の融資が多くなってしまうと、カバーしきれなくなるということです。

 

500万の融資先がその事業に失敗すれば、それをカバーするのに2億貸さなければならない。そうなれば当然、重視するのは「堅実さ」ということになります。

 

ところが、この「相手側の事情」を理解していないと、融資面談において大きなミスを犯す可能性があるのです。

 

「急成長しているFCで、これだけ成功事例が出ています、中には初期投資を1年で回収した先もあるくらい利益率が高いのです!」

 

と鼻息荒く語ってしまうわけです。

 

これでは融資担当者側の心はつかまえられない、のです。むしろ「急成長だ!高利益率だ!」とばかり強調されれば、「安定しているのか?長く続くのか?」という点が気になるわけです。

 

 

融資をする側からすれば、

 

大成功するか?ではなく失敗しないか?

 

が探りたいところ、なのです。

 

 

だから、話としては自分のこの事業に賭ける夢、みたいな話を熱く語ってもプラスにはならないのです。

本書にも創業計画書の「創業の動機」欄の書き方へのアドバイスとして、

「起業への想い」を熱く書けば書くほど担当者は冷めますよ

とあります。

そのとおり、なのです。

 

 

相手の立場から考えれば当たり前のことだと思いますが、この視点がもてないという人が多いのです。

 

 

実は、この本のタイトルである「事業計画書は1枚に」というのも、この「相手の立場にたって考える」とわかります。


公庫の融資申請にはA3サイズ1枚の「創業計画書」があります。これが所定のもので、一応このフォーマットを使わなくても、別の書式でも受付可能、という但し書はあるのですが、これはこの所定のA3の用紙1枚で提出すべき、なのです。


 

なぜか?



もうおわかりだと思いますが、融資の担当者が見慣れたフォーマットだから、です。


Excelで作成したもっと詳しい事業計画書を何枚も添付したり、ネットで見つけた見栄えのいい事業計画書のテンプレなんかをベースに作成する、とかはムダを超えてマイナスです。


詳しければいい、というものではなく融資担当者が一目見て理解しやすい書式。それは所定のA3の1枚にまとまった事業計画書、なのです。



本日はこんなところで。