ビックマックを生み出した「伝説の加盟者」マイケル・デリカッティ氏の話
通りには迷い子の白い猫、竹村です。
昨日こんなニュースが。
「ビックマック」は全世界のマクドナルドの中で看板メニューとなってる特別なハンバーガー。
これを本部ではなく、一加盟店のオーナーがつくった、というのはあまり知られてない話。
マクドナルドは声明で、デリガッティ氏は同社に「いつまでも続く影響」を及ぼした「伝説的なフランチャズ加盟者」とその功績をたたえた。
それはそうですよね。マクドナルドといえばビックマック。どんな新しい魅力的ハンバーガーが出ても、たとえそれが一時的にヒットしても、最終的にはビックマックに戻る、というのがマクドナルド好き、というものです。全世界でそうなのです。
食べる側からみて味と価格のバランスが絶妙、そして売る側からしたら看板メニューで利益もだせるという、まさにフランチャイズ・チェーンを支える「究極のメニュー」です。
これがもともとマクドナルドにあったメニューではなく、本部が商品開発したメニューでもなく、「伝説的なフランチャズ加盟者」がつくって流行らせたメニューである、ところがフランチャイズを語る上で大きなポイント。
そのへんをしっかりとらえた、いい記事を発見!
マクドナルド本社は、当時ハンバーガー、チーズバーバー、フライドポテトとシェイクといったシンプルな品揃えでも売り上げは上々だったため、「ビッグマック」の全国展開には消極的だったという。ピッツバーグ大学ビジネススクールの元副学部長のアン・デュガン氏は、デリガッティ氏のすごさは、単純に「客が欲しがるものを作った」ことだと指摘する。そして、フランチャイズには常に従うべきマニュアルがあるが、客の好みを良く知っていたデリガッティ氏は、あえてマニュアルを飛び越えたところに商機を見出したとし、彼の我慢強さとそれに折れたマクドナルドが、その後の歴史を作ったと説明している(AP)。
「あえてマニュアルを飛び越えたところ」から大ヒットメニューが生まれた、という話ですが、これぞフランチャイズ。上に書かれいるとおり、成功している本部というのはなかなか危機感をもてません。むしろ日々お客様に販売している加盟店のほうが、商売の動きに敏感になっていくわけです。
本人いわく大発明ではなく、アイデア自体は近所のライバル店の人気メニューだったダブルデッカー・バーガーから拝借したと、生前ロサンゼルス・タイムズ紙に告白している(WSJ)。
デリガッティ氏はライバル店で大きなハンバーガーが売れているのをみて、
客はもっと大きいバーガーを望んでいる
と確信したと。
これではライバル客をとられるという危機感、ですね。
この危機感を本部というのはなかなか持つことができないのです。
デリガッティ氏はまずは自店で売らせてくれ、と本部に懇願し、それを認めさせた行動力が素晴らしいわけで。最初は消極的で、しかしテスト販売とはいえ渋々でもそれを認めた本部の姿勢も素晴らしい。
やはり集合天才という「フランチャイズの本質」をわかっているからできること、です。
ただ、勘違いしてはいけないのは、加盟店から「マニュアルを超えた」素晴らしいアイデアが出てくるのは、やはりきちんと儲かるビジネスモデル、マニュアルがあるから、なのです。
本部がきちんとフランチャイズを運営しているからこそ、本部を超えるアイデアをだす加盟店が出てくくる、ということ。
「集合天才」という考え方を取り違えてはいけません。
本日はこんなところで。
成功はゴミ箱の中に レイ・クロック自伝―世界一、億万長者を生んだ男 マクドナルド創業者 (PRESIDENT BOOKS)
- 作者: レイ・A.クロック,ロバートアンダーソン,野地秩嘉,孫正義,柳井正,Ray Albert Kroc,Robert Anderson,野崎稚恵
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2007/01
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 354回
- この商品を含むブログ (118件) を見る
マクドナルド兄弟は繁盛店をつくり、そのノウハウでFCをつくって全世界に広げたのがレイ・クロック。そして全世界に通用する看板メニューを開発したのがマイケル・デリカッティ、ということですね。